SL (2)

花巻~釜石を走るSL銀河に初試乗!ということで感想をシェアします。

今年4月より運行を開始したSL銀河は、フェラーリで有名な奥山清行さんがデザインを手がけ、東北観光の新たな目玉アトラクションとして話題を呼んでいます。

 

<ポジティブな印象>

SLの持つ魅力

これは、百聞は一見に如かずというか、五感が反応しているのが自分でも分かりました。

艶やかに光る黒い先頭車両、汽車の軽快な音に、石炭を燃やす匂い。

半世紀前までこんなSLが日本中を走っていたかと思うと、ちょっぴり懐かしい気分です。

 

―宮沢賢治の世界観

これぞ大正ロマンという内装が雰囲気を醸し出し、シートの座り心地もいい感じです(前後の間隔がちょっと狭いですが)。

宮沢賢治にまつわるエピソードやグッズが車内のいたる所に展示され、閲覧用の絵本や小説を読むこともできます(写真1)。

そして、なんといってもプラネタリウム。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、学生時代は池袋サンシャインに通いつめ、ちょっとだけ星のソムリエを目指していた私にとって、車内に設置されているプラネタリウムは一大エンタテイメントです笑

10分間の上映で、車中で事前予約をします。感想はまずまずといったところ。

今後のプログラム更新に期待です。ぜひKAGAYAさんの作品を!(映像1)。

ちなみに、釜石線の各駅にはエスペラント語の名称がつけられていて、SL運行に合わせ、看板がリニューアルされています(写真2)。

 

―いつもと違って見える風景

SLは普通の電車よりもゆっくり走ります。だからいつもの風景が違って見える。

沿線で地域の方々が手を振ってくれるのも心が温まります。どうかSLに飽きることなく、地域でこの汽車を見守っていってほしいと思います。

 

<ネガティブな印象>

―意外と釜石まで観光客が来ない?

私が今回乗車したのは遠野~釜石区間です。理由は空席があったから。

花巻~遠野~釜石を走るSLですが、観光客の一部は花巻(東北新幹線の駅の近く)から乗車して遠野で降りてしまいます。

これには、4時間を超える乗車時間に加え、「釜石まで行く理由」を明確に打ち出せていないという要因があるのかもしれません。

「銀河鉄道の終着駅」というコンセプトや、宮沢賢治ゆかりのコンテンツ、釜石での宿泊を促すイベントなど、プロモーション強化が必要です。

釜石を訪れた人と受け入れ地域による良質なコミュニケーションを生み出し、「そだちば」としての価値を高めていくプロジェクトが進められていますが、改めてその重要性を感じる一日でもありました。

カンパネルラやジョバンニのように自分を再発見する旅を提供したいものです。

 

―プレミアム感をどう出すか

4時間超という乗車時間を短縮できない限り(=「いつもの移動手段+α」としての認知が不可能な場合)、SL自体に関心の薄い層のリピート乗車を促すにはプレミアム感が必要です。

ターゲットを広く設定しているせいか、プラネタリウム放映中に、一眼レフやスマホで写真を撮りまくる輩がいたり、小さなお子さんが泣き出したりと、「自分と向き合う上質空間」とは言えない一面も…。

一部グリーン席のような上位シートを設けたり、プラネタリウムでターゲット層をずらした複数番組を放映する、などの施策が考えられますが、今後の展開にも注目していきたいと思います。

 

と、あれこれ書きましたが、魅力的なアトラクションであることは間違いありません。

ぜひ、みなさまも一度SL銀河に乗ってみてください!

 

<奥山清行さんとロジャー・パルバースさんの対談記事より>

奥山 今回は「SL銀河」を、岩手の自然に加えて、賢治の世界や時代を表現する「テーマパーク」にするつもりで取りかかりました。

ただ、列車は大勢の人を乗せて動くものですから、安全性の観点から規則や制限が多く、建物よりもデザインが難しいんです。

客室には本物の木を使ったんですが、可燃性の材料は使えないというので、木材には燃えないようにする処理が必要だったり・・・。

 

パルバース 「注文の多い仕事」だったわけですね(笑)。

でも、私は奥山さんのデザインを見て、賢治の世界が見事に再現されていることを感じます。賢治の詩や童話の特徴は、時間と空間を超えて作品の中に融合しているという点にあると思うんです。

普通の芸術、たとえば正岡子規が「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」と詠んだ時、それは柿を口にした時に鐘の音が響いたという、その瞬間の美を捉えているものです。

ですが、賢治の描く世界には、今そこにある情景、太古の昔から現在に受け継がれてきたもの、そして遠い未来にも通じるものが含まれています。

奥山さんの今回のデザインは、そうしたことをたくさんの人が実際に見て、感じ、考えてもらうことができます。「テーマパーク」というより、列車を一種の「劇場」のようなものに変える力を持っていると感じたんです。

 

奥山 なるほど、「テーマパーク」は製作者がしつらえたテーマを単純に楽しむものだけど、「劇場」は観客の一人ひとりがステージ上で演じられるパフォーマンスを、自分のものとして体験する場なんですね。

 

パルバース そう、特に賢治は、決まった解釈がないタイプの作家です。

奥山 僕自身、数十年ぶりに『銀河鉄道の夜』を読み返してみましたが、正直言って少年の頃読んだときには、難しくて何だかわかりませんでした(笑)。

でもこの年になって改めて読むと、奥の深い世界であることがわかってきました。

 

パルバース それは、自分というものの再発見でもあります。そして、雄大な自然に接して自分なりの美を発見することが、旅の本来の目的だとも思います。

「SL銀河」は、その意味で素晴らしい体験になります。運行が始まったら、私は何回でも乗車したいと思っているんですよ。

 

奥山 花巻から遠野を経て釜石までの4時間ですか。僕もぜひ、乗客としてイーハトーブを走る列車に揺られてみたい。

賢治が作品に込めたメッセージと一緒に、自分自身を再発見する旅。これはかなり高レベルな旅になりそうです(HPより)。

 

対談記事の全文はこちらから↓

https://www.jr-morioka.com/sl/interview.html

写真1
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写真2
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